建設会社で働いている平凡な会社員

現場で働きつつ、建設業の「なるほど!」を発信中。

【Diary1106】祭りの安全は誰が守る?――だんじり死亡事故から考える、監督・捜査・補償の違い

※画像は生成AIによるイメージです。実際の祭りや事故現場を撮影したものではありません。

2026年10月10日、大阪府泉佐野市と泉大津市で、祭りのだんじりが横転する事故が相次ぎました。亡くなられた方々に、心よりお悔やみ申し上げます。ご遺族の深い悲しみを思うと、言葉もありません。けがをされた方々の回復をお祈りいたします。

建設会社で働いていると、大きなものが動く場所の安全について、どうしても考えさせられます。

「建設現場には労働基準監督署がある。では、祭りの安全は誰が確認するのだろう?」

今回は、この疑問から調べたことを整理します。事故について確認できた報道と、制度の一般的な説明、そして私自身の考えを分けて書きます。今回の事故の責任を、外から決めつける意図はありません。

1.今回の事故について、報道で確認できること

10月10日付のテレビ朝日・共同通信の報道によると、泉佐野市では午前11時ごろ、泉大津市では午後1時20分ごろ、交差点でだんじりが横転し、それぞれ男性1人が亡くなりました。共同通信は、2件で祭り関係者計16人が負傷したと伝えています。大阪府警が状況を調べていると報じられています。

ここから「誰の判断が誤っていたか」「どの対策が不足していたか」までは分かりません。運行方法、事前の確認、当日の指示など、具体的な事実の検証が必要です。

以下は、2026年10月13日時点で確認した資料に基づく一般論です。今回の主催者の保険加入状況、契約内容、補償額や、刑事責任の判断は確認できていません。

出典:テレビ朝日(2026年10月10日)、共同通信・埼玉新聞掲載(同日)

2.建設現場では、事業者の安全管理と労基署の監督がある

建設現場では、まず事業者が労働安全衛生法などに基づく安全対策を実施します。労基署が毎日現場にいて、すべての作業の安全を保証する仕組みではありません。

厚生労働省の説明では、労働基準監督官は事業場に立ち入り、設備や帳簿などを調べ、法違反の是正を指導します。危険な設備の使用停止を命じる場合もあります。重大・悪質な法違反では、司法警察員として捜査し、検察庁に送検する役割も担います。

つまり、現場の日々の安全管理に加え、法律に基づく外部の監督がある、という関係です。

出典:厚生労働省「労働基準監督官の仕事」

3.祭りでは、警察の役割を二つに分けて考える

開催前・開催中の道路使用許可や安全への指導

大阪府警は、道路で祭礼行事などを行う場合、警察署長等の道路使用許可が必要と案内しています。警察は交通や雑踏の安全について、主催者や警備会社などに指導・助言する役割も持っています。

ただし、道路使用許可を受けたことをもって、祭りの運行や設備に関するすべての危険がなくなるとは考えられません。許可条件を守り、当日の状況に応じて安全に運営する管理が必要です。

事故後の原因調査と、犯罪の疑いがある場合の刑事捜査

今回も、警察が状況を調べていると報じられています。「祭りの事故だから警察が関与しない」ということではありません。

一般に、過失による死傷など犯罪の疑いがあれば、警察の刑事捜査の対象になり得ます。ただし、死亡事故が起きたという事実だけで、特定の人の犯罪が成立するわけではありません。注意義務やその違反、結果との因果関係などの検討が必要です。今回の捜査の容疑名や結論を、ここで断定することはできません。

建設現場の労基署と祭礼の警察は、対象とする法律や役割が異なります。「祭り版の労基署は警察」と一対一で置き換えると、分かりにくくなりそうです。

出典:大阪府警「道路使用許可申請手続について」、大阪府河内長野警察署協議会会議録(令和8年第2回)、刑法

4.主催者の安全管理と、法的な責任の判断

祭りでは、主催者や運営組織が、参加者と見物する人の安全を考えて準備し、運営することが基本になります。大阪府警の会議録でも、祭礼等の行事全般の責任は主催者等にあるという考え方が示されています。

一方で、「主催者だから、事故が起きれば必ず全責任を負う」とまで言うことはできません。民法709条は、故意や過失による権利侵害などについて損害賠償責任を定めていますが、誰にどのような責任が生じるかは、具体的な事実関係によります。

安全管理の必要性を論じることと、今回の特定の関係者に法的責任があると断言することは、分けて考えたいと思います。

また、祭りでも設営や警備などに雇用された労働者が関わる場合には、労働関係法令や労災保険が問題になることがあります。「祭りなら労基署は一切無関係」とも言い切れません。地域住民としての参加なのか、業務として働いていたのかなど、実態の確認が必要です。

出典:大阪府中堺警察署協議会会議録、民法709条、厚生労働省「労働基準について」

5.「保険に入っている」と「十分に補償される」は別の話

亡くなられた方やけがをされた方への補償も、気になるところです。ただ、保険には種類があり、仕組みも違います。

仕組み 一般的な役割 確認が必要なこと
労災保険 労働者の業務災害・通勤災害などに対する法定給付 労働者性、業務との関係、認定など
行事参加者などの傷害保険 契約で対象となる事故による死亡・けがなどへの給付 対象者、活動内容、保険金額、免責事項など
主催者側の賠償責任保険 主催者が負う法律上の損害賠償責任に対する補償 責任の有無、補償範囲、限度額、免責事項など
個人の生命保険・傷害保険 本人が加入した契約に基づく給付 契約内容、支払条件など

傷害保険は、一般に主催者の過失が認められること自体を支払条件とするものではなく、対象事故かどうかなど契約の条件で判断されます。一方、賠償責任保険は法律上の賠償責任を対象とする点で性質が異なります。

また、一般的な行事向け商品が、そのままだんじりの曳行や乗車に適用できるとは限りません。参加者、運営側、観客のどこまでが対象かも含め、実際の活動を伝えて保険会社等に確認する必要があります。

今回、どの保険が使えるか、いくら支払われるかは未確認です。「保険があるから大丈夫」とも、「補償されない」とも決めつけられません。刑事上の責任、民事上の賠償、保険の給付は、それぞれ分けて確認する必要があります。

出典:損保ジャパン「レクリエーション傷害保険」、同「傷害保険約款集」、日本ウオーキング協会掲載・主催者賠償責任保険の案内

6.ここからは私見――続けるために、安全を見直す

祭りには、その土地で受け継いできた思いや、人と人とのつながりがあります。準備に長い時間をかけ、地域を支えている方々もいるでしょう。

その価値を大切にするからこそ、危険を具体的に確認し、必要なら方法を変えることも大事だと私は思います。

建設現場の考え方を参考にするなら、例えば次のような準備が考えられます。

  • 曲がり角や路面状態を確認し、運行方法や速度を検討する
  • 乗る位置や役割、参加者の経験に応じた配置を見直す
  • 危険を感じたとき、誰がどの合図で止めるかを共有する
  • 観客との距離、退避場所、救急車が入る経路を確保する
  • 事故やヒヤリとした経験を記録し、翌年の運営に反映する
  • 保険の対象と限度額を事前に確認し、事故時の連絡窓口を決める

これは今回の祭りで対策が行われていなかったと指摘するものではありません。原因の検証を踏まえ、地域や運営に詳しい方々と、安全の専門家が一緒に考えるための視点です。

私が特に大切だと思うのは、危険を感じた人が声を出せて、止める判断を周囲が支えられることです。建設現場でも、計画書を整えるだけでなく、その日の変化を見て判断することが欠かせません。

保険は被害を受けた方やご家族の生活を支える大切な備えです。同時に、お金で戻せないものがあるからこそ、事故を防ぐ取り組みを重ねていきたい。

亡くなられた方々とご遺族の尊厳を守りながら、事実を確かめ、次に生かす。地域の大切な祭りが、参加する人も見守る人も無事に帰れる行事であってほしいと願っています。

※制度・保険の説明は一般的な整理です。個別の責任や給付の可否は、事実関係、適用法令、実際の契約により異なります。

【Diary1105】10月なのに、ひまわり満開。――網走・大曲湖畔園地で楽しむ秋の黄色い絶景

【Diary1105】10月なのに、ひまわり満開。――網走・大曲湖畔園地で楽しむ秋の黄色い絶景

10月も中旬。北海道・オホーツクでは朝晩の冷え込みが増し、冬の気配を感じる季節になりました。

ところが網走には、そんな時期にひまわりの黄色い花畑を楽しめる場所があります。それが「大曲湖畔園地」です。

網走市観光公式サイトは2026年10月8日、園地のひまわり畑が見頃を迎えたと案内しました。見頃の目安は10月15日頃まで、開園は10月19日までとのことです。

「ひまわりは夏の花」というイメージを、いい意味で裏切ってくれる秋の網走。今日は地元の季節の話題です。

1.夏だけじゃない、網走のひまわり

大曲湖畔園地は、かつての網走刑務所の農場跡地を活用した観光農園です。ここの特徴は、ひまわりを夏と秋の年2回楽しめること。

夏の強い日差しの下で見るひまわりもきれいですが、秋のひまわりには別の魅力があります。澄んだ空気、少し冷たい風、周囲の木々の秋色。同じ黄色でも、季節が変わると景色の印象まで変わります。

市の観光案内によれば、園地には見晴台も設けられており、花畑をゆっくり眺められるそうです。

2.見に行くなら、開園日と見頃を確認

10月8日付の網走市観光公式案内に掲載された情報を整理すると、次のとおりです。

項目 2026年の案内
場所 網走市・大曲湖畔園地
見頃の目安 10月15日頃まで
開園期間 10月19日まで
開園時間 9:00~17:00
楽しみ方 花畑の散策、見晴台からの眺め

※開花状況は天候によって変わります。訪問前には最新の公式情報をご確認ください。

10月13日の今日なら、まだ見頃の目安の期間内。仕事や用事の合間に立ち寄れる方には、ちょっと気になる風景ではないでしょうか。

3.景色を支えるのも、日々の手入れ

私は普段、建設現場で土工や農業土木の仕事に関わっています。花畑を見ても、つい「この土地はどう管理しているのだろう」と考えてしまいます。

植物を育てるには、土の状態、水はけ、通路の維持など、目に見えにくい管理が欠かせません。観光地も同じで、きれいな景色があるだけではなく、人が安全に歩ける通路や利用しやすい環境があって、初めて多くの人が楽しめます。

「見える景色」の裏には、「見えない仕事」がある。

建設業に携わる者としては、そんなところにも目が向きます。もちろん、花を見に行ったときくらいは仕事のことを忘れて、素直に景色を楽しみたいものです(笑)。

まとめ――秋の網走に、もうひとつの黄色

10月のオホーツクは、紅葉や収穫のイメージが強い季節です。そこに、ひまわりの黄色が加わるのは網走ならではの面白さ。

三連休が終わった後も、秋の景色は少しずつ変わっていきます。冬が来る前の短い時間。地元にいると当たり前に感じる風景ほど、あらためて見に行くと新しい発見があるのかもしれません。

10月なのに、ひまわり。

そんな季節のギャップを楽しんでみたいですね。


参考情報

※アイキャッチ画像は生成AIによるイメージであり、現地の実写写真ではありません。

【Diary1104】追い込み期こそ、急がない。――10〜12月の建設現場で見直したい「基本動作」

【Diary1104】追い込み期こそ、急がない。――10〜12月の建設現場で見直したい「基本動作」

秋から年末にかけては、建設現場の工程が一気に動く時期です。

北海道では冬前に進めておきたい工種が重なり、工程調整、資材搬入、重機稼働、人員配置が普段以上に密になります。

北海道労働局では、10月1日から12月31日まで「建設工事追い込み期労働災害防止運動」を展開しています。

また、10月8日には転倒災害、高年齢労働者、外国人労働者に関する労働災害発生状況も更新されました。

追い込み期は、特別なことを始めるよりも、普段やっている安全管理をもう一度丁寧にやることが重要です。

追い込み期に増えやすいのは「焦り・慣れ・省略」

工程が詰まってくると、現場ではどうしても次のような状態が起きやすくなります。

  • 次工程を優先して確認が浅くなる
  • 重機と作業員が同時に動く場面が増える
  • 資材や仮設材が増えて通路が狭くなる
  • 作業場所の変更が多くなり、危険箇所が日々変わる
  • 「昨日も同じ作業だったから大丈夫」という慣れが出る
  • 朝夕の冷え込みや日没の早まりで視認性が落ちる

事故は、突然ゼロから発生するよりも、こうした小さな省略や見落としが重なった時に起きます。

現場で見直したい5つの基本

1. 重機・車両との接触防止

重機作業では、作業半径内への立入禁止を徹底します。

特に追い込み期は、ダンプ、バックホウ、ローラー、ユニックなど複数の機械が同じ場所で動くことも多くなります。

「運転手から見えているはず」ではなく、

  • 合図者を決める
  • 誘導位置を固定する
  • 作業員の退避場所を明確にする
  • 重機の旋回半径+余裕距離を確保する

といった基本を崩さないことが重要です。

2. 転落・滑落の防止

秋は朝露や雨、落ち葉で法面や仮設道路が滑りやすくなります。

掘削部、法肩、排水路、仮設道路では、

  • 路肩からの離隔
  • バリケード・コーンの配置
  • 昇降設備の確認
  • 足元の泥・段差の除去

を毎日確認します。

3. つまずき・転倒の防止

工事終盤は資材、工具、ホース、仮設材などが増え、通路が乱れやすくなります。

「後で片付ける」ではなく、作業終了時ごとの整理整頓を習慣化することが大切です。

特に高年齢作業員がいる現場では、わずかな段差やぬかるみでも転倒リスクが高くなります。

4. 高年齢作業員への配慮

経験豊富な作業員ほど、現場では頼りになる存在です。

一方で、身体能力や反応速度には個人差があります。

無理な単独作業を避け、

  • 重量物は複数人で扱う
  • 長時間連続作業を避ける
  • 足元の悪い場所では補助員を付ける
  • 体調確認をこまめに行う

など、作業配置そのものを工夫する必要があります。

5. 外国人作業員との意思疎通

指示が伝わった「つもり」になっていないかも重要です。

難しい言葉を避け、短い日本語、図、写真、指差し、実演を組み合わせることで、誤解を減らせます。

安全ルールは、説明したかどうかではなく、「理解できたか」で確認することが大切です。

現場代理人として意識したいこと

追い込み期は工程を守ることも重要です。

しかし、安全を削って工程を守ることはできません。

現場代理人として意識したいのは、

管理項目 確認したいポイント
安全 作業手順、立入禁止、退避場所
工程 同時作業の重なり、無理な詰め込み
品質 急ぎによる手直し・確認不足
人員 適正配置、経験差、高齢者への配慮
環境 低温、雨、路面状態、日没時刻

です。

工程が遅れている時ほど、作業を増やす前に「危険が増えていないか」を確認する。

そのひと手間が、事故による大きな遅れを防ぎます。

まとめ――急ぐ時ほど、基本を省略しない

追い込み期は、現場全体が忙しくなります。

だからこそ、

  • 作業手順を確認する
  • 危険箇所を毎日見直す
  • 重機と人を分離する
  • 整理整頓を徹底する
  • 作業員の体調と理解度を確認する

という基本を崩さないことが大切です。

安全管理は、特別な対策よりも、毎日の基本動作を続けること。

追い込み期こそ「急がない」。

それが結果的に、工程・品質・安全を守る一番の近道だと思います。

参考

  • 北海道労働局「建設業の労働災害防止について」
  • 北海道労働局「安全課からのお知らせ」

カテゴリー:建設業 / 安全管理 / 労働災害防止 / 施工管理 / 追い込み期

【Diary1103】潮位補正なしで測る時代へ――港湾工事の衛星三次元測位が変える、測量と施工管理

【Diary1103】潮位補正なしで測る時代へ――港湾工事の衛星三次元測位が変える、測量と施工管理

建設現場で測量は、施工の「ものさし」です。

どれだけICT施工や3次元データが進んでも、基準となる位置や高さが正しくなければ、施工も出来形管理も成り立ちません。

国土交通省は2026年10月8日、港湾工事での「衛星三次元測位」の実用化に向けた検討会を設置すると発表しました。

港湾工事ではこれまで、潮位を観測し、水深の基準となる最低水面と実際の潮位との差を補正したうえで施工や測量を行う必要がありました。

今回の検討では、海上保安庁が作成する「水路測量基準面2025」を活用し、衛星三次元測位によって、潮位観測による補正に頼らず施工・測量に必要な水深を把握する仕組みの実用化を目指しています。

港湾工事では「高さ」が少し特殊

陸上の工事では、BMや既知点を基準に高さを管理することが一般的です。

一方、港湾工事では海面が常に上下します。

そのため、浚渫や水深測量では、

  • 現地で潮位を観測する
  • 最低水面との差を求める
  • 測った水深を補正する
  • 施工・出来形に反映する

という手順が必要になります。

常設の検潮所がない場所では、簡易検潮所の設置や連続観測も必要になり、測量そのもの以外にも手間がかかります。

衛星三次元測位で何が変わるのか

国土交通省の資料では、衛星三次元測位を活用することで、従来の潮位補正作業を減らし、施工や測量に必要な水深を効率的に取得することを検討しています。

現場目線で整理すると、次のような変化が期待できます。

項目 従来 衛星三次元測位の活用後に期待されること
潮位管理 現地観測・資料整理が必要 観測作業を削減
水深把握 潮位補正後に確定 リアルタイム性向上
測量 補正工程が多い 作業工程を簡素化
出来形管理 潮位データとの整合が必要 3次元データとの連携がしやすい
工程 観測や整理待ちが発生 手待ち削減が期待できる

単に「測量が楽になる」という話ではなく、施工計画、出来形確認、作業船の運用まで含めた生産性向上につながる可能性があります。

現場代理人として気になるのは「基準の切り替え」

新しい技術が導入されるときに一番注意したいのは、機械やソフトよりも「何を基準に管理するのか」です。

国土交通省の検討資料では、衛星三次元測位の導入後は、従来の基本水準標等からの高さではなく、「地球楕円体からの高さ」を使う考え方が示されています。

ここが現場では非常に重要です。

基準が変われば、

  • 設計データの作り方
  • 測量機器の設定
  • 出来形管理の方法
  • 発注者とのデータ受け渡し
  • 協力会社への施工指示

まで影響します。

便利な技術ほど、基準や座標系の認識違いがあると大きな施工ミスにつながります。

ICT施工でも「基準確認」は最初の仕事

私は普段の現場でも、RTK-GNSSや3次元データを使う機会があります。

ICT施工では、現場に杭を大量に出さなくても施工できる場面が増えました。

ただし、だからこそ重要になるのが最初の確認です。

  • 座標系は正しいか
  • 基準点の値は合っているか
  • 高さの基準は統一されているか
  • 機械側と測量側で同じデータを使っているか
  • 設計変更後のデータが最新になっているか

デジタル化すると、間違ったデータでも機械は正確に動いてしまいます。

「正確に間違える」ことを防ぐためにも、技術者が基準を理解することは以前より大切になっています。

まとめ――測量の省力化は、施工管理の質を上げるために

港湾工事における衛星三次元測位は、潮位観測や補正作業の負担を減らし、施工・測量・出来形管理を効率化する技術として検討が進んでいます。

国土交通省では、これまで浚渫工や水深測量などで実証を進め、令和8年度からモデル工事を行いながら全国への適用を検証していく予定です。

測量作業が省力化されれば、その分、現場確認や施工計画、安全管理に時間を使えるようになります。

ICT施工の目的は「人を減らすこと」だけではありません。

人が判断すべき仕事に、きちんと時間を使える現場にすること。

衛星三次元測位も、そのための一つの道具になっていくのではないでしょうか。

参考

カテゴリー:建設業 / 施工管理 / 測量 / ICT施工 / GNSS / 港湾工事

【Diary1102】資材は「ある前提」で工程を組まない――需要見通しから考える、調達と工程管理

【Diary1102】資材は「ある前提」で工程を組まない――需要見通しから考える、調達と工程管理

建設現場では、工程表をつくるときに「人」と「機械」だけを見ていても、工事は回りません。

もう一つ大きいのが、資材が必要な時期に、必要な量だけ入ってくるかということです。

国土交通省は2026年10月9日、令和8年度の「主要建設資材需要見通し」を公表しました。主要5資材のうち、セメント、生コンクリート、普通鋼鋼材は前年度を上回る需要見通しです。

一方で、木材は横ばい、アスファルトは減少見通しとなっています。

需要が増えるからといって、すぐに「品不足になる」「価格が上がる」と決めつけることはできません。ただ、現場代理人としては、資材調達を工程の外側に置かず、最初から工程管理の一部として考える必要があります。

主要資材の需要見通し

国土交通省が公表した令和8年度の需要見通しは次のとおりです。

資材 需要見通し 前年度比
セメント 3,100万t +1.5%
生コンクリート 6,100万m³ +1.2%
木材 775万m³ ±0.0%
普通鋼鋼材 1,570万t +1.1%
アスファルト 75万t -2.6%

この数字は、建設投資見通しや資材ごとの原単位などを使って推計された全国ベースの年間需要見通しです。

現場単位で見ると、地域、時期、工種、工場の稼働状況、輸送条件によって事情はかなり変わります。

だからこそ重要なのは、「全国で増えるらしい」で終わらせず、自分の現場では何が工程リスクになるかを考えることです。

資材調達は「発注担当だけの仕事」ではない

現場で資材が入らないと、影響はすぐ工程に出ます。

例えば、

  • 生コン打設日の変更
  • 鋼材加工・納入待ち
  • 二次製品の製作待ち
  • アスファルト合材の出荷調整
  • 他工事との供給競合
  • 運搬車両の確保不足

などです。

工事が止まると、作業員や重機が手待ちになり、工程だけでなく原価にも影響します。

そのため現場代理人としては、資材の「発注済み」だけで安心せず、

  1. 納期は確定しているか
  2. 製作に何日かかるか
  3. 工場の出荷能力はどうか
  4. 運搬車両を確保できるか
  5. 天候で納入がずれる可能性はないか

まで確認しておく必要があります。

工程表に「資材の時間」を入れる

工程表には、施工期間だけでなく、資材の調達期間も入れておくと管理しやすくなります。

例えば、構造物を施工する場合でも、

  • 材料承認
  • 発注
  • 製作
  • 検査
  • 運搬
  • 搬入
  • 施工

という流れがあります。

施工日だけを工程表に載せると、「工事はまだ先だから大丈夫」と思っているうちに発注が遅れます。

特に設計変更が絡む現場では、数量や仕様が確定するまで発注できないこともあります。そうなると、設計協議の遅れが、そのまま資材納期の遅れにつながります。

現場では、協議・発注・製作・搬入まで含めて一つの工程として見ることが大切です。

需要増=不足、ではない

今回の見通しでは、セメント、生コン、普通鋼鋼材が前年度を上回っています。

ただし、これは需要の増加見通しであって、全国的な資材不足や価格高騰を意味するものではありません。

現場で必要なのは、数字を不安材料として見ることではなく、

  • 早めに供給状況を確認する
  • 必要数量を精査する
  • 代替案を考えておく
  • 工程に余裕を持たせる

といった準備につなげることです。

まとめ――資材が来るまでが工程管理

工程管理というと、「いつ掘るか」「いつ据えるか」「いつ舗装するか」という施工日程に目が向きます。

でも、現場は資材が来なければ動きません。

需要見通しの数字を見るときも、大事なのは市場予測そのものより、自分の現場で資材を切らさない仕組みをつくれているかだと思います。

必要な資材を、必要な時期に、必要な数量で確保する。

これは調達の仕事であると同時に、施工管理そのものです。

参考

カテゴリー:建設業 / 施工管理 / 工程管理 / 資材調達 / 建設資材 / 国土交通省

【Diary1101】技能は「見える化」できる時代へ――CCUS能力評価に型枠解体・鉄骨が追加

【Diary1101】技能は「見える化」できる時代へ――CCUS能力評価に型枠解体・鉄骨が追加

建設現場では、同じ「作業員」という呼び方でも、経験年数、保有資格、段取り力、後輩への指導力など、実際の力量には大きな差があります。

ただ、その違いは現場の中では分かっていても、会社や現場が変われば伝わりにくい。そこを「見える化」する仕組みの一つが、建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価です。

国土交通省は2026年10月8日、能力評価の対象分野に「型枠解体技能者」と「鉄骨技能者」を追加すると発表しました。これにより、能力評価は51分野に広がります。

能力評価は「経験年数だけ」ではない

CCUSの能力評価では、技能者の経験、資格・技能、マネジメント能力などをもとに、4段階の技能レベルで判定します。

  • レベル4:ゴールド
  • レベル3:シルバー
  • レベル2:ブルー
  • レベル1:ホワイト

単に「何年働いたか」だけではなく、どんな資格を持ち、どんな役割を担い、どれだけ現場経験を積んできたかを客観的に評価する仕組みです。

今回、新たに型枠解体と鉄骨が加わり、能力評価の対象は51分野となりました。

現場代理人として感じる「評価」の意味

現場代理人の立場から見ると、技能者の力量を早く把握できることは、安全・品質・工程のすべてに関係します。

たとえば、新しく入場した技能者について、

視点 現場で確認したいこと
安全 危険作業への理解、資格、指示への対応
品質 施工精度、仕上がり、手直しの少なさ
工程 作業速度だけでなく段取り・連携力
指導 班長・職長として周囲をまとめられるか

といった点を、日々の作業を通じて見ています。

CCUSの評価だけで全てが分かるわけではありませんが、技能・経験を共有する共通の物差しがあることは、協力会社との配置検討や人員計画にも役立ちます。

「評価される技能」が担い手確保につながる

建設業では長年、「腕が良くても評価が見えにくい」という課題がありました。

経験を積み、資格を取り、職長として責任を担っても、それが処遇に十分反映されなければ、若い人が将来像を描きにくくなります。

技能レベルが見えるようになれば、

  • 自分の成長段階が分かる
  • 次に取るべき資格や役割が見える
  • 会社側も育成計画を立てやすい
  • 技能に応じた処遇改善につなげやすい

という効果が期待できます。

現場で大切なのは「カードの色」だけではない

もちろん、現場では能力評価のレベルだけで人を判断することはできません。

今日の地盤状態、作業条件、他職種との取り合い、重機との接触リスクなど、その現場特有の条件を理解し、安全に作業できることが最優先です。

だからこそ、CCUSの評価は「人を決めつけるためのもの」ではなく、技能者の経験や能力を知るための一つの情報として使うのが大切だと思います。

まとめ――技能が正当に評価される現場へ

建設業の魅力を高めるには、「頑張れば技能が上がり、その技能がきちんと評価される」という道筋が必要です。

型枠解体と鉄骨が加わり、CCUS能力評価は51分野へ拡大しました。

現場で積み上げてきた経験や資格、マネジメント力が見える形になり、技能者本人の誇りや処遇改善につながる。

現場代理人としても、制度を“登録のための事務作業”で終わらせず、人材育成や適正配置に生かしていきたいところです。

参考

カテゴリー:建設業 / CCUS / 技能者 / 人材育成 / 施工管理

【Diary1100】応急対策が終わっても、道路を守る仕事は続く。――国道336号の発表から考える、復旧後の引継ぎ

【Diary1100】応急対策が終わっても、道路を守る仕事は続く。――国道336号の発表から考える、復旧後の引継ぎ

道路は、毎日そこにあって、普通に通れる。

北海道で暮らしていると、その「普通」が仕事にも生活にも深く関わっていると感じます。通勤、資材の運搬、農水産物の出荷、買い物、通院。一本の道路の先には、いろいろな人の暮らしがあります。

2026年10月8日、北海道開発局の帯広開発建設部が、国道336号の法面崩壊に伴う災害対策本部の廃止を発表しました。

このニュースを見て考えたいのは、応急対策が一区切りついた後、その道路をどう守っていくかということです。

今日の発表で確認できること

公表資料によると、対象は9月9日に発生した国道336号の法面崩壊です。災害応急対策が完了したため、災害対策本部を10月7日17時に廃止したとされています。

ここで、発表日と本部の廃止日は一日違います。

また、この資料が示しているのは災害応急対策の完了と本部の廃止です。これだけで、恒久的な復旧工事の完了や、すべての通行規制の解除まで確認できるわけではありません。

「本部を廃止した」という見出しだけで、現地の状態を決めつけない。建設の仕事に関わる側として、この読み分けは大切だと思います。

道路の向こうに、地域の一日がある

道路が使いにくくなれば、車が遠回りするだけでは済まないことがあります。

配達の時間が変わる。現場への資材搬入を組み直す。病院へ行くために、いつもより早く家を出る。地域の事業者が、取引先へ状況を説明する。

だから、災害への対応は、道路そのものを直す仕事であると同時に、地域の予定を取り戻す仕事でもあります。

現場で対応した方々の具体的な作業内容は今回の資料には書かれていませんが、こうした地域の暮らしを支える仕事の重みは、短い発表からも考えさせられます。

復旧後の引継ぎは「次の人が分かる形」で

ここからは、今回の現地対応を説明するものではなく、一般的な施工・維持管理の視点です。

応急的な対応から、その後の管理へ移るときには、「何をしたか」だけでなく「何を引き続き確認するか」を伝えることが重要です。

例えば、現場の条件に応じて次のような事項を整理しておきたいところです。

引き継ぐ事項 次の担当者が知りたいこと
対応した範囲 どこに、どのような対策を実施したか
残る確認事項 継続して見る場所や、未完了の事項はあるか
排水の状態 水の流れや、詰まりを確認する箇所はどこか
点検・連絡の方法 いつ、誰が確認し、変化を誰に伝えるか
通行への影響 規制や利用条件について、最新情報はどこで確認するか

写真や図面があっても、確認する場所や担当が分からなければ、次の人は迷います。

「自分には分かる」から「次の人にも分かる」へ。その一手間が、施工と維持管理をつなぎます。

変化を伝えられることも、道路を守る力

道路を利用する側にも、できることがあります。

出発前に最新の道路情報を確認する。現地の規制や案内に従う。異常を見つけたときは、無理に近づかず、道路管理者へ場所と状況を伝える。

一方、管理する側では、前回と同じ場所を見て比較できるようにしておくと、変化を共有しやすくなります。

大がかりな工事だけが、地域を守る仕事ではありません。巡回、排水の確認、連絡、引継ぎ。普段は目立たない仕事も、道路を使い続けるための土台です。

「普通に通れる」を、次の日へつなぐ

今回の発表は、災害応急対策が一区切りついたことを伝えるものです。

その区切りを正確に受け止めたうえで、次の管理へつなげる。施工した人、点検する人、情報を届ける人、道路を利用する人。それぞれの仕事や行動が、地域の一日を支えています。

建設会社で働く一人として、完成したものを見るだけでなく、その先で誰が使い、誰が守っていくのかまで考えていたいと思います。

当たり前に通れる道路の裏側には、当たり前を続けるための仕事があります。


参考:北海道開発局 帯広開発建設部「国道336号法面崩壊に伴う災害対策本部の廃止について」(2026年10月8日発表)

道路の利用にあたっては、帯広開発建設部の道路交通情報などで最新の規制情報をご確認ください。

※記事・アイキャッチ画像の作成に生成AIを活用しています。画像は内容を伝えるためのイメージで、実際の被災箇所や復旧状況を撮影したものではありません。

【Diary1099】水がたまってからでは遅い。――アンダーパス冠水事故を防ぐ「多重防御」

【Diary1099】水がたまってからでは遅い。――アンダーパス冠水事故を防ぐ「多重防御」

大雨のニュースを見るたびに、道路のアンダーパスが冠水している映像を目にします。

「水が増えてきたら通行止めにすればいい」と考えがちですが、実際には水位が急激に上昇することもあります。

国土交通省は2026年10月6日、「アンダーパスにおける冠水事故防止に向けたガイドライン」を策定しました。

ポイントは非常に分かりやすく、「冠水する前に止める、入らせない」という考え方です。

現場の安全管理にも通じる内容だと感じました。

1.「危なくなってから」ではなく、その前に止める

ガイドラインでは、排水設備だけに頼るのではなく、冠水のおそれが高まった段階で予防的な事前通行規制を行う考え方が示されています。

現場でも同じです。

雨が強くなってから法面作業を止める。 風が強くなってからクレーン作業を考える。 水位が上がってから退避を始める。

これでは判断が一歩遅くなることがあります。

安全管理では、

  • 雨量・水位・気象予報を確認する
  • 作業中止の基準を事前に決める
  • 誰が判断するのか明確にする
  • 退避経路・規制方法を決めておく

など、「危険になる前の判断」が重要です。

2.止めるだけではなく「入らせない」

通行止めの看板を出しても、車両が進入できる状態なら、誤って入ってしまう可能性があります。

今回のガイドラインでは、予防的な通行規制に加えて、車両を確実に進入させない対策を組み合わせる「多重防御」が重視されています。

対策 現場で考えるポイント
事前通行規制 危険になる前に判断する
車両進入防止 ゲート・遮断機・規制材などで物理的に防ぐ
警告・情報提供 表示板や警告灯で早く知らせる
排水機能確保 ポンプ・排水設備を点検する
異常時対応 故障しても安全側へ移行する

これは建設現場の立入禁止措置にも似ています。

「立入禁止」と書くだけではなく、バリケードやカラーコーン、監視員などを組み合わせ、危険箇所へ人を入れない。

一つの対策だけに頼らないことが大切です。

3.設備があるから安全、ではない

排水ポンプがある。

水位計がある。

警報装置がある。

設備が整っていても、故障や停電、想定を超える雨が発生する可能性はあります。

そこで重要になるのがフェールセーフです。

設備に異常が起きたとき、「危険側」ではなく「安全側」に移行する仕組みを考えておく。

現場代理人や監理技術者の立場でも、

設備が動く前提ではなく、動かなかった場合にどうするか

まで施工計画や安全管理で考える必要があります。

機械・設備と、人による判断・運用。

両方があって初めて安全対策になります。

まとめ――安全管理は「先に動く」

今回のガイドラインで印象に残るのは、

「冠水する前に止める、入らせない」

という考え方です。

事故が起きてから対応するのではなく、事故になる前に止める。

一つの設備に頼らず、規制、進入防止、排水、監視、運用を重ねる。

これはアンダーパスだけではなく、建設現場の安全管理そのものにも通じます。

「まだ大丈夫」ではなく、

「今なら安全に止められる」

そのタイミングで判断できる現場にしていきたいですね。


参考:国土交通省「アンダーパスの冠水事故防止に向けたガイドラインを策定~『冠水する前に止める、入らせない』対策を推進~」(2026年10月6日) https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_002153.html

【Diary1098】列車に乗ることが、地域を応援する。――特急「オホーツク」で始まる沿線特産品販売

【Diary1098】列車に乗ることが、地域を応援する。――特急「オホーツク」で始まる沿線特産品販売

北海道で暮らしていると、移動はどうしても車が中心になります。

私自身も普段の移動はほとんど車です。

だからこそ、ときどき列車に乗ると、いつも走っている道路とはまったく違う景色が見えてきます。

そんな中、石北線を走る特急「オホーツク」で、沿線地域の特産品を車内販売する取り組みが行われます。

白花豆の商品、蜂蜜、帆立の加工品など、オホーツクや沿線ならではの味を、列車で移動しながら楽しめる企画です。

単なる「車内販売の復活」というより、鉄道と地域をもう一度つなぐ取り組みとして気になりました。

地域の味を「列車の中」へ

今回の取り組みでは、石北線沿線の地域の方々が列車に乗り込み、それぞれの地域の特産品を販売します。

駅の売店で買うのとは少し違います。

列車が地域を通過するその時間に、その土地の人と商品が乗ってくる。

旅をしている側からすれば、「今、この地域を走っているんだ」と感じられる仕掛けになります。

例えば、

  • 白花豆を使った商品
  • 地域でつくられた蜂蜜
  • 帆立などオホーツクの水産加工品

といった商品が並びます。

商品そのものだけでなく、「どこで、誰が、どんな地域でつくっているのか」まで感じられるのが面白いところです。

石北線は、人だけではなく地域を運んでいる

石北線は札幌・旭川方面とオホーツク地域を結ぶ重要な鉄道路線です。

観光客や地域住民を運ぶだけではありません。

農産物などの物流にも関わり、地域経済を支えるインフラの一つです。

建設業で道路や河川、農業基盤などに関わっていると、「インフラは完成したら終わりではない」と感じます。

使われ続けてこそ意味があります。

鉄道も同じではないでしょうか。

列車に乗ることで生まれるもの 地域へのつながり
移動 地域間を結ぶ
観光 沿線を訪れるきっかけ
買い物 地元の商品を知る
物流 地域産業を支える
景色を楽しむ 地域の魅力を再発見する

「乗る」という何気ない行動も、地域を支える一つの方法になります。

移動そのものを観光にする

車で移動すると、好きな場所で止まれるという大きなメリットがあります。

一方、列車には列車ならではの良さがあります。

運転しなくていい。

窓の外をゆっくり眺められる。

紅葉した山、畑、川、遠くに見えるオホーツクの景色。

普段なら運転しながら一瞬で通り過ぎてしまう風景を、座って眺めることができます。

そこに沿線の食べ物が加われば、「目的地へ行くための移動」が「旅の一部」に変わります。

北海道のように移動距離が長い地域だからこそ、この考え方は大切だと思います。

まとめ――たまには列車でオホーツクを

人口減少が進む地域では、公共交通を維持することは簡単ではありません。

だからといって「残してほしい」と言うだけでは難しい。

実際に利用する。

沿線で買い物をする。

地域を訪れる。

そうした一つ一つの行動が、地域の交通や経済につながっていきます。

普段は車ばかりの私ですが、こういう企画を見ると、

「たまには列車で出かけてみようかな」

と思います。

列車に乗り、窓からオホーツクの景色を眺め、その土地のものを食べる。

それだけでも十分、地域を応援する旅になるのではないでしょうか。


※運行日・販売区間・販売商品等は変更される場合があります。利用の際は最新の運行・企画情報をご確認ください。

【Diary1097】舗装は“厚くすれば長持ち”ではない。――新しい舗装基準から考える、長寿命化と施工管理

【Diary1097】舗装は“厚くすれば長持ち”ではない。――新しい舗装基準から考える、長寿命化と施工管理

道路舗装というと、「厚くつくれば丈夫になる」というイメージを持つ人もいるかもしれません。

もちろん必要な厚さを確保することは大切です。ただ、舗装の寿命を決めるのは厚さだけではありません。

国土交通省は9月30日、「車道及び側帯の舗装の構造の基準に関する省令」を改正し、「舗装の構造に関する技術基準」を改定しました。狙いの一つは、新技術の導入を促しながら舗装の長寿命化を進めることです。

現場側から見ると、これは単に「基準が変わった」という話ではありません。

設計で想定した性能を、施工で確実につくり込み、その状態を記録として残す。舗装の長寿命化は、設計と施工をつなぐところから始まります。

長持ちする舗装は「条件に合っているか」が大切

舗装には、大型車の交通量、路床・路盤の状態、地域の気象条件など、さまざまな条件が影響します。

特に北海道では、凍結・融解や低温など、本州とは違う条件も考えなければなりません。

現場でまず確認したいのは、

  • 設計で想定した交通条件
  • 路床・路盤の状態
  • 使用する材料と配合
  • 舗装厚や施工範囲
  • 排水条件
  • 気温・天候など施工時の条件

です。

設計図に数字が書いてあるから、その数字だけを合わせれば終わりではありません。

「なぜこの構造になっているのか」を理解して施工することで、異常や設計との不整合にも気づきやすくなります。

品質は材料・温度・締固めの積み重ね

舗装工事では、施工の一つ一つが完成後の性能につながります。

例えばアスファルト混合物なら、運搬時間が長くなれば温度が低下します。敷均しや締固めのタイミングがずれれば、十分な締固めができない可能性があります。

現場代理人・監理技術者としては、次のような流れを切れ目なく管理することが重要です。

管理段階 主な確認ポイント
材料 種類・配合・出荷状況
運搬 到着時間・温度低下
敷均し 厚さ・幅員・平坦性
締固め 転圧順序・回数・温度
出来形・品質 厚さ・密度・高さ・試験結果
記録 写真・測定値・試験資料との整合

完成すると見えなくなる部分ほど、施工中の管理と記録が重要になります。

「水を逃がす」ことも寿命を守る

舗装そのものだけを見ていても、道路は長持ちしません。

表面水が滞留する。路肩から水が入り込む。路盤・路床に水が残る。

こうした状態が続けば、舗装構造全体に影響します。

だから施工時には、横断勾配や縦断勾配、側溝や集水施設との取り合い、路肩の仕上がりなども一緒に確認する必要があります。

舗装の品質管理は「黒い部分」だけを見る仕事ではないということです。

まとめ――長寿命化は現場の積み重ねから

新しい技術基準や新技術が導入されても、最後に性能を形にするのは施工です。

設計条件を理解する。

材料を確認する。

適切な温度で敷き均し、締め固める。

排水を確保する。

そして施工した内容を記録として残す。

一つ一つは、施工管理では当たり前の作業かもしれません。

でも、その「当たり前」を確実につなげることが、道路を長く使うための一番の近道だと思います。

新しい基準を「設計側の話」で終わらせず、現場で何を確認するべきかまで考える。

それも現場代理人・監理技術者の仕事ではないでしょうか。


参考:国土交通省「『車道及び側帯の舗装の構造の基準に関する省令』の改正及び『舗装の構造に関する技術基準』の改定について~新技術導入促進による舗装の長寿命化に向けて~」(2026年9月30日)

【Diary1096】AIに任せる仕事、任せない仕事。――建設現場で始まるAIエージェント活用

【Diary1096】AIに任せる仕事、任せない仕事。――建設現場で始まるAIエージェント活用

建設現場でも、生成AIを使う場面が少しずつ増えてきました。

文章を整える。資料を要約する。法令や技術基準を探す。打合せ簿や安全資料の「たたき台」をつくる。

こうした仕事はAIと相性がいい一方で、現場条件を見て「これで施工してよいか」「この作業を安全に進められるか」を決めるところまでAIに任せるのは違うと思います。

10月1日には、株式会社シーティーエスが建設業特化型AIエージェント「SAP マインド」の提供を開始しました。建設分野でも、AIは単なる文章作成ツールから、必要な情報を探し、整理し、業務を支援する方向へ進んでいます。

では、現場代理人や監理技術者はAIとどう付き合えばよいのでしょうか。

AIに任せやすいのは「探す・整理する・下書きする」

現場では、判断そのものより、その判断にたどり着くまでの情報整理に時間を取られることがあります。

例えば、

  • 法令・仕様書・技術基準から必要な箇所を探す
  • 長い資料の要点を整理する
  • 打合せ簿や協議資料の下書きをつくる
  • KYや安全指示事項の抜けを確認する
  • 数量計算や工程検討のたたき台をつくる

こうした作業をAIに補助してもらえば、人は確認と判断に時間を使えます。

大切なのは、「AIに考えてもらう」のではなく、「人が考えるための材料を早くそろえる」という使い方です。

それでも最後は、現場を知る人が決める

AIは現場の地盤を踏んでいません。

朝の雨で法面がどれだけ軟らかくなったか、作業員が疲れていないか、重機の動線が昨日から変わっていないか。図面には表れない条件はたくさんあります。

AIが支援しやすい仕事 人が最終判断する仕事
法令・基準の検索 現場条件への適用判断
資料・議事録の整理 発注者・協力会社との調整
安全資料の下書き 当日の危険性と作業可否
数量・工程の検討補助 品質・工程への影響判断
過去事例の検索 現場としての最終決定

特に安全・品質・工程に関わる判断は、AIの回答をそのまま採用するのではなく、設計図書、現地状況、関係基準、施工経験を照らし合わせて確認する必要があります。

AIで増やしたいのは「現場を見る時間」

現場代理人の仕事は、パソコンの前だけでは終わりません。

現場を歩く。作業員と話す。施工状況を見る。明日の段取りを考える。発注者や協力会社と調整する。

ところが書類作成や資料検索に追われると、本来時間をかけたい仕事が後回しになることがあります。

だからこそAIで減らしたいのは、「考える時間」ではなく「考える前にかかっていた時間」です。

30分かかっていた資料整理が10分になれば、残り20分を現場確認に使えるかもしれない。

その20分で、重機動線の危険に気づくかもしれない。工程の無理に気づくかもしれない。作業員から重要な話を聞けるかもしれない。

そこに、建設現場でAIを使う価値があると思います。

まとめ――AIは「代わりに決める人」ではない

建設業のAI活用というと、「人の仕事がなくなる」という話になりがちです。

でも現場で考えると、少し違って見えます。

AIに任せられる仕事は任せる。

そして、人は現場を見る、話す、考える、判断する。

AIは現場代理人の代わりになるものではなく、現場代理人が本来の仕事に時間を使うための道具として使う。

これからAIエージェントが進化しても、最後に「この現場ではどうするか」を決めるのは、現場を知り、責任を持つ人です。

AIをうまく使って、人にしかできない仕事に、もっと時間をかけたいですね。


参考:株式会社シーティーエス「深刻化する建設業の人手不足、生産性向上へ 建設業特化型AIエージェント『SAP マインド』を10月1日より提供開始」(2026年9月24日発表)

【Diary1095】“捨てる”までが施工管理。――10月は3R推進月間、建設リサイクルを現場で見直す

【Diary1095】“捨てる”までが施工管理。――10月は3R推進月間、建設リサイクルを現場で見直す

10月は「3R推進月間」です。

国土交通省は9月30日、10月に建設リサイクル法に関する全国一斉パトロールを実施すると発表しました。

建設現場では、構造物をつくることに目が向きますが、施工すれば必ず何らかの廃棄物や建設副産物が発生します。

コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、木材、金属くず、建設発生土。

これらを「現場から出せば終わり」と考えないことも、施工管理の一部です。

今日は、3R推進月間をきっかけに、現場代理人の立場から建設リサイクルを考えてみます。

分別は「処分場でやること」ではない

リサイクルを進めるうえで重要なのが、現場での分別です。

異なるものを一緒にしてしまえば、その後の再資源化が難しくなります。

逆に、発生した段階で種類ごとに整理できれば、再利用や再資源化につなげやすくなります。

現場で発生するもの 管理で意識したいこと
コンクリートがら 他の廃棄物を混入させない
木くず 金属・プラスチック類などと分別
金属くず 種類を整理して再資源化へ
建設発生土 搬出先・数量・利用方法を確認
梱包材など 発生量そのものを減らせないか検討

「あとで分ければいい」ではなく、作業計画の段階から置場や搬出方法まで考えておく。

それだけでも現場の整理整頓は大きく変わります。

現場代理人が見るのは「搬出した後」まで

廃棄物をダンプに積んで現場から搬出すると、現場側からは見えなくなります。

でも管理はそこで終わりではありません。

何を、どれだけ、どこへ運んだのか。

契約している処理業者や搬出先は適切か。

必要な記録は残っているか。

設計数量や実際の発生量との整合は取れているか。

施工管理では、出来形や品質だけでなく、こうした建設副産物の流れも説明できる状態にしておく必要があります。

特に設計変更が絡む場合は、数量の根拠を施工中から残しておくことが重要です。

3Rはコストと工程にもつながる

3Rとは、

Reduce(発生抑制)・Reuse(再使用)・Recycle(再生利用)

のことです。

環境対策という印象が強いですが、現場ではコストや工程にも直結します。

例えば、現場内で再利用できる土を不用意に搬出してしまえば、処分費が発生し、その後に別の土を購入・搬入することになるかもしれません。

資材の発注量が過大なら、余った材料の処分にも手間と費用がかかります。

つまり、

「捨て方を考える」前に「捨てなくて済む方法を考える」

ことが一番の3Rです。

施工計画や数量管理を丁寧に行うことが、そのまま環境負荷とコストの低減につながります。

きれいな現場は、廃棄物管理も分かりやすい

現場を歩いたとき、資材置場や廃棄物置場が整理されている現場は、何がどこにあるのかすぐ分かります。

これは安全管理にもつながります。

通路に廃材が出ていない。 飛散しやすいものが放置されていない。 重機や運搬車両の動線を邪魔していない。

建設リサイクルは環境だけの話ではなく、安全・工程・コスト・現場管理すべてにつながる仕事です。

10月の3R推進月間。

現場の廃棄物置場を一度見て、「分別できているか」だけではなく、

この廃棄物、本当に発生させる必要があったのか。

そこまで考えてみるのも、施工管理の一つではないでしょうか。


参考:国土交通省「建設リサイクル全国一斉パトロールを実施します~10月は3R(リデュース・リユース・リサイクル)推進月間です~」(2026年9月30日)

【Diary1094】発注者だけで抱えない。――公共工事で広がる「CM方式」とは?

【Diary1094】発注者だけで抱えない。――公共工事で広がる「CM方式」とは?

公共工事というと、発注者が設計を発注し、工事を発注し、施工者が工事を進める――そんな形を思い浮かべる人が多いと思います。

ところが、工事が大規模・複雑になるほど、発注者側にも工程、コスト、設計、施工、関係者調整など幅広いマネジメントが必要になります。

国土交通省が9月30日に公表した「公共事業におけるピュア型CM方式活用実態調査(令和8年度)」では、CM方式の導入実績が建築・土木の両方で増加していることが示されました。

CMは「Construction Management」の略です。

今日は、現場で働く側から見て「CM方式で何が変わるのか」を考えてみます。

CM方式は「発注者の仕事を支える」仕組み

ピュア型CM方式では、発注者とは別にCMR(コンストラクション・マネジャー)が入り、技術的な中立性を保ちながら発注者を支援します。

支援する範囲は事業によって異なりますが、設計検討、工程管理、コスト管理、施工段階の調整などが対象になります。

単純に「発注者の代わりに現場を見る人」というより、

発注者が適切に判断するための技術的な支援役

と考えると分かりやすいかもしれません。

公共工事の品質確保の促進に関する法律でも、発注関係事務を適切に実施できる者の活用が規定され、発注者支援の契約方式の一つとしてCM方式が位置付けられています。

現場では「確認する相手が増える」だけではない

施工者側から見ると、関係者が増えることで「説明や打合せが増えるのでは?」と感じるかもしれません。

確かに、CMRが関わることで確認ルートが変わる場合はあります。

しかし本来期待されるのは、複雑な課題を早い段階で整理し、発注者の意思決定を支援することです。

現場で起こること CMに期待される役割
設計と現場条件が合わない 課題整理・技術的検討を支援
工程が複数工事と干渉する 全体工程・関係者調整
追加工事や変更が発生する コスト・工程への影響整理
発注者が判断材料を必要とする 技術情報を整理して意思決定を支援

現場代理人として重要なのは、CM方式だから特別な資料を作るというより、普段から「何が問題で、何を決めてもらいたいのか」を明確にすることだと思います。

現場代理人にも必要な「マネジメントの視点」

CMという言葉を見ると、大規模事業だけの話に感じます。

でも考え方そのものは、普通の建設現場にも通じます。

工程だけを見るのではなく、安全・品質・コスト・設計変更・関係者との調整を同時に考える。

例えば設計図と現場が違ったとき、

「施工できません」

だけでは話は進みません。

現況はどうなっているのか。 どんな施工方法が考えられるのか。 工程への影響はどの程度か。 数量や費用はどう変わるのか。

こうした情報を整理して発注者が判断しやすい形にすることも、現場代理人の重要な仕事です。

「施工する力」だけでは完成しない

国土交通省の今回の調査では、公共事業でCM方式の導入実績が建築・土木とも増加しています。

背景には、事業の複雑化や発注者側の体制など、さまざまな事情があります。

建設業ではICT施工やBIM/CIMなど「施工技術」の進化が注目されますが、それと同じくらい重要になるのが、情報と人をつなぐマネジメントです。

施工者、設計者、発注者、CMR。

立場は違っても、目指すところは「良いものを、安全に、適切な工程とコストで完成させること」。

発注者だけで抱えない。施工者だけでも抱えない。

複雑になる建設事業だからこそ、それぞれの専門性を持ち寄って判断する仕組みが、これからさらに重要になっていくのかもしれません。


参考:国土交通省「公共事業におけるピュア型CM方式活用実態調査(令和8年度)結果」(2026年9月30日)

【Diary1093】その写真、“証拠”になっていますか?――月末に見直したい施工写真・出来形・品質記録

【Diary1093】その写真、“証拠”になっていますか?――月末に見直したい施工写真・出来形・品質記録

9月も今日で終わりです。

月末になると、工程や出来高、請求関係など、現場ではいろいろな数字を整理します。

そんなとき、一緒に確認しておきたいのが施工写真・出来形・品質管理の記録です。

写真をたくさん撮っている。測定値も入力している。試験結果もファイルに保存している。

それでも、数か月後に別の人が見たとき「これはどこの、何を確認した記録なのか」が分からなければ、記録としての価値は大きく下がります。

国土交通省の土木工事施工管理基準でも、工事写真は施工管理の手段として、施工段階や完成後に見えなくなる箇所、出来形寸法、品質管理状況などを記録するものとされています。

だから大切なのは「撮ったか」ではなく、あとから施工を説明できるかだと思います。

写真は枚数より「何を証明するか」

現場ではスマートフォンや電子小黒板の普及で、以前より簡単に多くの写真を残せるようになりました。

一方で、写真が多すぎて必要な一枚を探せないこともあります。

例えば暗渠排水なら、施工後には地中に隠れてしまいます。

管の種類、径、布設位置、接続状況、被覆材など、完成後に確認できない部分ほど、施工中の記録が重要になります。

「全景を撮った」だけではなく、何を確認するための写真なのかを意識する。

これだけでも写真の残し方は変わります。

月末に照合したい4つの記録

確認するもの 月末に見るポイント
設計図・変更図 実際に施工した内容と一致しているか
施工写真 場所・工種・施工段階が追えるか
出来形 測定位置、設計値、実測値が対応しているか
品質記録 使用材料、試験結果、施工箇所が結び付いているか

ここで重要なのは、それぞれを別々に完成させることではありません。

図面を見ると施工箇所が分かり、そこから写真と出来形へたどれる。

品質試験を見ると、どの材料をどこで使ったのか確認できる。

こうした「つながり」があると、監督員への説明や検査でも確認が早くなります。

現場代理人が怖いのは「埋めてから気づく」こと

土木工事には、一度施工すると見えなくなるものが多くあります。

埋戻し、盛土、暗渠排水、基礎、地下構造物などです。

施工が終わってから、

「写真がない」

「測定していない」

「材料の記録と施工場所が結び付かない」

と気づいても、簡単には確認できません。

だから現場代理人や監理技術者として意識したいのは、施工後の書類整理だけではなく、隠れる前に必要な記録がそろっているか確認することです。

施工→記録→確認→次工程。

この流れを日常の施工管理に組み込んでおけば、月末に慌てて写真を探す時間も減らせます。

記録は「検査のため」だけではない

施工写真や出来形管理というと、検査書類のイメージが強いかもしれません。

でも本来は、自分たちが正しく施工したことを説明するための記録です。

数年後に不具合が発生したときにも、施工時の状況を確認する手掛かりになります。

ICT施工が進み、3次元計測やTLSなどを使った出来形管理も広がっています。

記録する方法は変わっても、

「誰が見ても施工内容を追える状態にする」

という目的は変わらないと思います。

9月最後の日。

写真フォルダを一度開いて、図面・出来形・品質記録とつながっているか確認してみる。

月末のそんな10分が、完成検査前の大きな安心につながるかもしれません。


参考:国土交通省「土木工事施工管理基準」「写真管理基準」、関東地方整備局 ICT施工・出来形管理に関する講習資料

【Diary1092】走る人だけでは、マラソンはつくれない。――オホーツク網走マラソンから見えた「地域で支える力」

【Diary1092】走る人だけでは、マラソンはつくれない。――オホーツク網走マラソンから見えた「地域で支える力」

9月27日、網走の秋を代表するイベント「オホーツク網走マラソン」が開催されました。

ランナーが主役なのはもちろんですが、大きな大会を成立させているのは走る人だけではありません。

給水を準備する人、沿道で声を掛ける人、交通を整理する人、会場を設営する人、地域の事業者、協賛企業、そして住民。

一つのイベントの裏側には、たくさんの「支える仕事」があります。

建設現場で働いていると、この姿がどこか現場運営にも似ていると感じます。

見えるのはランナー、支えているのは大勢の人

マラソン大会では、スタートからゴールまで長い距離を安全に管理しなければなりません。

給水所、救護、交通規制、案内、誘導、応援、ゴール会場。

それぞれ担当は違っても、一つでもうまく連携しなければ大会全体に影響します。

建設現場も同じです。

現場代理人、作業員、重機オペレーター、ダンプ運転手、測量、資材会社、発注者など、多くの人がそれぞれの役割を担い、一つの工事を完成させます。

完成した道路や構造物だけを見れば、その裏側で何人が動いたのかはなかなか分かりません。

でも、見えないところで支える人がいるから仕事は成立しています。

大規模イベントと建設現場に共通する「段取り」

マラソンと建設工事は全く違うように見えますが、運営には共通する部分があります。

マラソン大会 建設現場
コース・交通規制 施工区域・交通規制
ランナーの動線 作業員・重機・車両の動線
給水・物資配置 資材・機械の配置
スタッフ配置 作業員・誘導員の配置
救護体制 緊急時対応
時間管理 工程管理

特に重要なのが「人の動線」です。

人がどこから来て、どこへ移動するのか。車両と交差しないか。混雑する場所はないか。

イベントでも現場でも、事前に想像して準備することが安全につながります。

地域イベントは「地域全体の現場」

オホーツク網走マラソンでは、市内外から多くの人が網走を訪れます。

その人たちを迎えるため、会場だけではなく街全体が大会を支えます。

地域のイベントというと「観光」や「にぎわい」に目が向きますが、その裏側には設営、交通、安全、清掃、物資、案内など、多くの実務があります。

建設会社も地域の中で仕事をしています。

道路をつくる。農地を整備する。除雪をする。災害時には復旧に動く。

仕事の種類は違っても、「地域を支える」という部分では共通しています。

主役を支える仕事にも価値がある

マラソン大会では、ゴールするランナーに大きな拍手が送られます。

それは当然です。

でも、そのランナーが安全にゴールできるよう支えた人たちにも、それぞれの仕事があります。

建設現場も、完成したものだけが仕事ではありません。

朝の安全確認、交通誘導、測量、資材手配、書類作成、機械の点検。

一つ一つは目立たなくても、どれかが欠ければ工事は前へ進みません。

走る人だけでは、マラソンはつくれない。

そして、現場も一人ではつくれません。

たくさんの人が自分の役割を果たし、互いに支えることで、一つのものが完成する。

オホーツク網走マラソンを見ながら、そんな当たり前だけれど大切なことを改めて感じました。